[原子力産業新聞] 2004年7月29日 第2245号 <3面>

[中国] 原子力4基建設を承認

23日付の中国の人民日報などは、中国の国務院(内閣)が21日、広東省大亜湾の嶺澳原子力発電所第2期工事、および浙江省台州市の三門原子力発電所第1期工事の着工を認可したと伝えた。いずれも、電気出力100万kW級の原子炉を2基ずつ、計4基建設する見通し。核工業集団公司(CNNC)など大規模国営企業の改革のあおりで、1997年以降、新規原子力発電所発注の止まっていた中国では、著しい経済発展を見せる南部沿岸地域での電力不足をうけ、2005年までの第10次5か年計画中の発注へ向けて、大きく1歩を踏み出した。

現行の第10次5か年計画は、「原子力発電を適度に発展させる」としており、国営企業化改革を進める朱鎔基前総理(首相)のもとでは、新規原子力発電所建設の抑制方針が顕著だった。

しかし2002年6月、胡錦濤国家主席は、「原子力発電はハイ・テクの戦略産業であり、自主開発は中国の原子力発電産業発展のためのただ1つの道」との通達を出し、事実上政策を転換。2003年には、国家発展改革委員会が、2020年の中国の原子力発電設備容量を3600万kWに、原子力シェアを4%に拡大する原子力発電長期計画を発表した。

今回発注されるのは100万kW級PWRが中心と見られ、嶺澳一期工事などより国産化率を高めた輸入炉と見られる。国産化率はこれら4基で、55%〜70%への上昇を目指す。

人民日報によると、国務院の会議では、原子力発電所建設加速への機が熟したこと、設計・製造の国産化の向上と技術の標準化を進めること、市場メカニズムと海外の先端技術導入により原子力の競争力を高めることなどが強調されたという。

中国では現在、695万kW・9基の原子力発電所を運転しているが、原子力のシェアは2%程度。さらに、ロシア型PWR(VVER)2基・212万kWを田湾に建設中で、今年末と来年末に運開の予定。

中国は、「国産を主とし、外国と協力する」方針の下、設計と製造の国産化を進めているが、現状で設計・製造とも国産化が進んでいるのは、秦山2期工事に採用された60万kW・PWR。中国が標準型炉と考えている100万kW級の3ループPWRの設計は、ようやく緒についたところだ。

嶺澳サイトは大亜湾原子力発電所サイトに隣接し、電力消費地の香港や深センにほど近い。嶺澳原子力発電所一期工事では、仏フラマトムを主契約者とし、99万kW・PWR2基(=写真)を1995年に受注、97年に建設開始、2002年5月と2003年1月にそれぞれ、1、2号機が運転を開始している。

浙江省三門は新規サイトで、電力大消費地の上海市から真南に約250kmの地点(=地図)。


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