[原子力産業新聞] 2004年7月29日 第2245号 <4面>

[原子力安全委員会] 安全委が報告聴取

原子力安全委員会は15日、国立弘前病院の放射線治療における過照射問題について、「放射線過照射による健康影響に関する調査委員会」が「中間まとめ」を取りまとめたことを受けて、関係者から報告を聴取した。「調査委員会」は、厚生労働省東北厚生局(当時)に設置され、40Gy以上の照射を受けた生存者について審査が終了したことから、「中間まとめ」を取りまとめたもの。

中間まとめによると、過照射患者数276名のうち生存者で40Gy以上の総線量を照射された78名については、弘前病院で診察、CT、MRIなどの画像診断・局所の写真記録などを行い、このデータに基づき障害発生の状況について個別に審査した。

判定の結果、放射線影響の程度に関しては、@障害がない(2名)A障害はあるが放射線の影響ではない(2名)B放射線の影響があるが通常の範囲内(44名)C放射線の影響があり過照射によって高まった(30名)――との結論を得た。

過照射を受け、既に死亡している患者については、今後、他の医療機関の協力を得て、データ収集等を行い、審査に取り込んでいくとしている。

一方、事故の原因究明については、「放射線過照射に関する検討会」が設置され、これまで3回にわたり検討を行い、最終的検討結果は出されていないものの、医師と放射線技師とのコミュニケーション不足、ダブルチェック体制の不備が事故原因であったと指摘している。今後、検討会では「調査委員会」や放射線治療関係の4学会からなる「国立弘前病院過剰照射事故調査団」の検討結果を踏まえて、原因究明の最終報告を行う予定。

さらに同検討会は、「事故調査団」と合同で事故防止マニュアルを作成するとしている。


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