[原子力産業新聞] 2004年8月19日 第2247号 <3面>

[米・加] 対策進捗状況で報告

昨年8月14日、北米を襲い5千万人に影響を与えた北米大停電から1年。米エネルギー省(DOE)とカナダ天然資源省は13日、大停電の再発防止を目指した対策の進捗状況と、今後取るべき行動を示した報告書を発表した。米原子力規制委員会(NRC)は13日、昨年の大停電のさい、米原子力発電所9基は安全に停止し、停電の引き金や拡大の原因とはならなかったと発表した。

「2003年8月14日大停電から1年―停電リスクを減らすため米国とカナダで取られた行動」と題する報告書は、「米・加停電タスクフォース」が4月にまとめた報告書の416項目の改善勧告について、過去1年間にとられた10項目の行動の進捗状況を示した。

これらは、@電力の信頼性向上のため政府・民間機関の改革A基準の明確化や新基準の策定B信頼性基準順守の監視体制の改善C大停電の直接原因の改善D運転者の訓練改善と免許取得の要求E運転者がリアルタイムで送電系統を監視できるツールの改善F電圧管理方法の強化Gシステム保護計画と手法の改善H電力システムの物理的保護とサイバーセキュリティ改善Iカナダの原子力発電所での所外電源喪失事象への対応改善――など。

カナダの原子力発電所について、4月の報告書は、原子炉の再起動を早めるため、調整制御棒の利用に関し、運転手順と運転員訓練の見直しを求めている。これに対してカナダ原子力安全委員会(CNSC)は、原子炉運転者とともに取組中だとしている。

また、4月の報告書はCNSCに対し、同委員会本部に緊急時用バックアップ発電機を据え付けるよう勧告したが、CNSCはすでに発電機の据え付けを終え、8月中旬から運用可能と述べている。

一方米NRCは、運転中の百3の原子力発電所について、所外電源の信頼性の評価方法と、その評価情報が適切に利用されているかなど、調査を実施した。ディアスNRC委員長は、「安全運転に必要な所外電源の入手可能性を高める行動が取られている」と強調。また、NRCは今年4月、原子炉運転者に対し、所外電源が発電所運転とその安全性に及ぼす影響について警告、この中で、発電所運転者が送電網全体の状況を把握するため、送電網運転者と密接なコミュニケーションを取る必要性を指摘した。


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