[原子力産業新聞] 2004年8月26日 第2248号 <1面>

[エネ調査会・安全委] 原因調査が本格化

総合資源エネルギー調査会保安部会の美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会(委員長=朝田泰英・火力原子力発電技術協会技術顧問)は19日、第2回会合を開催、関西電力の報告とともに立入検査結果、今後の原因調査の進め方、配管点検の報告徴収の結果などについて、意見交換した。

関西電力の報告は事故の詳細な時系列、2次系配管肉厚の管理指針の経緯、2次系水質管理履歴、配管減肉の点検結果など。配管減肉の点検では管理未実施部位を17か所確認したが、高浜3号機の8か所を含む11か所は同一仕様の他プラント(ツインプラント)からの測定結果により健全性は確認できるとした。これに対し、委員からはツインプラントでの減肉状態の同一性は証明されているか、などの質問があった。

今後の調査について保安院は、事業者からのデータ収集を進めるとともに、原子力安全基盤機構及び原研の協力を得て、破損部分の破壊解析、破断面調査などを実施すると説明。原子力発電所で法律対象の過去の減肉事例は敦賀1号機、浜岡1・2号機、高浜2号機、大飯1号機など合計9件あることを明らかにした。

保安院による配管点検の報告徴収は18日までにPWR23基とBWR29基の集計を終え、合計約15万の点検対象部位数に対し、管理未実施部位数は関電の4か所のみと報告。しかしツインプラントで安全性を確認できるとする同社の11部位は含めておらず、保安院としては、この見解については疑義がある、とした。

委員からは「品質マネージメントシステムなど、調査範囲を広げるべき」、「関電、日本アーム、三菱重工業の関係を分析し、システムとしての課題検証が必要」、「局部的なエロージョン・コロージョンの予測は困難で、困難なことを前提とした検査や設計が必要」などの意見が出された。


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