[原子力産業新聞] 2004年9月9日 第2250号 <2面>

[原子力委員会] 基本シナリオで議論

原子力委員会の新計画策定会議は3日、第7回会合を開催、基本シナリオをエネルギーセキュリティーと社会的受容性の観点から議論した。併せて政策変更の場合の追加コスト事項も検討、次回会議で定量的試案を審議する予定。

エネルギーセキュリティーは、核燃料サイクル効果の評価が検討課題。事務局は、年間800トン再処理によるMOX燃料と回収ウラン燃料で年間発電電力の20%を賄え、FBRサイクル実現でウラン調達を不要にできる可能性があり、全量再処理が長期的セキュリティー確保に極めて有効などの資料を提示した。

委員からは「プルサーマルの資源節約効果は10%。この程度は濃縮ウランのテール濃度低減で実現可能、経済合理性のないプルサーマルを過大評価している」(山地委員)、「FBRを国の責任として開発、再処理も国が主導すべき」(児嶋委員)、「今FBR路線を放棄した場合、今後のFBR開発は不可能になる。百年後を考えた多様な政策としてFBRは重要」(内山委員)などの意見が出された。

社会的受容性は、直接処分の場合に想定される約5年毎の5000トン級中間貯蔵施設の建設、六ヶ所再処理施設の廃止、再処理技術の継承などが検討課題。事務局は立地の困難性について、相対的に全量再処理は中程度だが、他シナリオは大きい、などの資料を提示した。委員からは、「最終処分方針が未決定の場合、立地は困難で全量再処理が現実的、コスト面は消費者が受容できるレベル」(勝俣委員)、「当事者として、再処理実現のための日米交渉などの努力を評価して欲しいと考える」(神田委員)、「政策転換は独に学ぶべき。過去の研究開発費が無駄になるとの理由で従来路線の弁護は出来ない」(吉岡委員)、「5年毎の中間貯蔵建設は不可能、現実的に全量再処理以外の選択は困難」(橋本委員)、「地元は長い年月をかけて理解し協力してきた。政策変更の場合、地元住民のフォローを如何に行うか」(井上委員)などの意見が出された。

政策変更の追加コストは六ヶ所再処理施設の投資回収と同廃止措置費用は技術検討小委員会、研究開発や既定事業への影響などは事務局が次回会合までに定量的試案作成の予定。


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