[原子力産業新聞] 2004年9月9日 第2250号 <4面>

[東芝] クリアランスレベル対応放射能測定装置をシリーズ化

東芝はクリアランスレベル対応の放射能測定装置として、このほどベータ線/ガンマ線用3機種およびアルファ線用一機種をシリーズ化した。ベータ線/ガンマ線用は独自の波長シフト技術により、高検出感度を達成。アルファ線用は世界で初めて物品搬出レベルの国内運用基準に適用できる性能を達成した。すでに原子力発電所での試験も実施、様々なニーズに対応できる機種により受注拡大を目指す。

クリアランス制度は、原子力発電所などから発生する廃棄物の中で、放射性核種濃度が極めて低いものを放射線防護規制の対象外とし、一般産業廃棄物と同様に再生利用あるいは処分する制度。すでに経済産業省は報告書をまとめ、来年には国会への法案提出が予定されている。

東芝の同測定装置はこうした制度に対応したもの。すでにサーベイメーター、物品搬出モニターなど表面汚染を測定する搬出検査用装置を幅広く手がけてきたが、今回、廃棄物に含まれる放射能濃度を測定できる機能を持つ同測定装置としてシリーズ化した。

ベータ線/ガンマ線用は独自の波長シフト技術により検出器の小型・薄型化および高感度化を達成しており、クリアランスレベル放射能濃度基準、物品の表面密度搬出基準とも10分の1のレベルまで測定可能。検出器の分割化により、汚染分布に偏りがある廃棄物でも正確な評価を可能とした。装置を自動化し30秒程度の短時間で測定できる。

3機種は、@測定対象物をトレイに載せる「トレイ型クリアランスレベル測定装置」A廃止措置時に多量に発生する解体物への適用を考慮しドラム缶など容器単位で1度に測定できる「バスケット型クリアランスレベル測定装置」B解体する前の建物や大型機器の表面密度に対して効率良く表面サーベイできる「密着走査測定式大面積検出器」。トレイ型の最大測定寸法は縦40×横50×長さ10cm・最大重量100キログラム、バスケット型は同じく1×1×1m・1トンで検出限界放射能濃度はコバルト60の場合で0・04Bq/グラム。

アルファ線用は、アルファ線によりイオン化された空気を高速回収し、このイオンを測定することで、アルファ放射能を定量測定する。測定容器に入れるだけで測定可能で、従来のアルファ用小型搬出装置に比べ、測定容積は約10倍、感度が2倍で、クリアランスレベル放射能濃度基準の50分の1、表面密度基準の10分の1まで測定できる。

同社ではこれら装置により、原子力発電所や自社の訓練用原子炉施設で実サンプル試験を実施しており、今月15日からの原子力学会大会で成果を発表する。


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