[原子力産業新聞] 2004年9月9日 第2250号 <4面>

[理研・東工大・放医研] 新型重イオン発生装置開発

理化学研究所と東京工業大学は、このほど放射線医学総合研究所の協力により、レーザープラズマを高周波4重極(RFQ)リニアックに直接入射する新しい重イオン発生装置を開発した。炭素イオンでは、現在のECR型イオン源に比べ100倍の加速電流50ミリAを達成、重粒子がん治療装置の大幅な低コスト化や小型化が可能としている。

新装置は、ターゲットへのレーザービーム照射により発生するレーザープラズマを利用する。従来、ターゲットから離れた位置に設けた引出し電極で重イオンを取出し、RFQリニアックに入射していたが、イオン電流が制限される課題があった。

新装置は、レーザープラズマの高輝度性を活かすため、同リニアックの近くにターゲットを設け、プラズマ状態のまま入射する。今回、プラズマ状態の重イオンを加速できる新しいRFQ型リニアックを開発。世界最高性能となる加速電流50ミリA、核子当たり100keVの加速に成功した。

現在、重粒子がん治療装置のイオン発生装置はECRが使用されているが、イオン強度が低いため、シンクロトロンへの入射を30〜40回繰り返し、必要な加速電流を得ている。新装置では1回の入射で必要な電流値を得ることが可能。また、ビーム断面積も小さくなるため、偏向用の電磁石や電源も大幅に小型化できるとしている。


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