[原子力産業新聞] 2004年9月16日 第2251号 <2面>

[ベルギー] エネルギー大臣 「脱原子力法」見直しも

 原子力発電の段階的閉鎖を盛り込んだ「脱原子力法」を2003年1月に制定したベルギーで、今年7月に経済・エネルギー大臣に就任したM・フェルビルゲン氏が、「原子力発電所の段階的閉鎖政策に関する議論を再開したい」と述べ、同政策を見直したいとの意欲を表明、注目を集めている。

 同大臣は2日、ベルギー紙との会見でこの考えを明らかにしたもの。同大臣はベルギーのエネルギー需要に関する調査を始めたいとも述べている。脱原子力法は、原子力発電所を運転開始後40年間で停止することを定めているが、国のエネルギー・セキュリティなど「不可抗力」のある場合は例外を認めている。

 フェルビルゲン大臣は、脱原子力法がイデオロギー的選択だったとし、「エネルギー需給調査によって、原子力が最善策であることが判れば、再考すべきだ」と述べた。また、ベルギーが原子力発電所を閉鎖しても、フランスの原子力発電所から電力を輸入することになるだけだとしている。

 ベルギーでは1999年、緑の党が「虹の連合」と呼ばれた連立政権に入り、同党出身議員がエネルギー大臣に就任したことを機に、原子力発電所の段階的閉鎖を含む脱原子力法が2003年1月に成立。これによって、原子力発電所の運転期間が一律40年とされ、新規原子力発電所の建設も禁止された。ベルギーでは7基・599・5万kWの原子力発電所が運転中で、56%の電力を供給している。

 最初のドール1号機が1975年2月運開、最後に運開したチアンジュ3号機が1985年9月に運開していることから、2015年から2025年の間に、すべての原子力発電所が停止することになっている。

 しかし、2003年5月の下院(150議席)総選挙では、緑の党が20から4へ大幅に議席を減らし、連立政権から離脱した。このため、2003年7月に発足したフェルホフスタット内閣は、フラマン系自由党(VLD)を主体とし、社会党と自由改革党が加わった連立政権となった。フェルホフスタット首相とフェルビルゲン経済・エネルギー省はともにVLD所属。同党所属の議員からは、京都議定書によるベルギーのCO2削減目標達成が危ぶまれる場合も、原子力発電所の運転継続を認めるよう脱原子力法を改正すべきとの声が上がっている。


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