[原子力産業新聞] 2004年9月30日 第2253号 <1面>

[原子力委員会] 2県知事から意見聴く

原子力委員会の新計画策定会議は24日と28日、それぞれ青森県の三村申吾知事と新潟県の平山征夫知事を招き、意見を聴いた。三村知事は、再処理しない場合の使用済み燃料の管理・処分の困難さを指摘し、現在の核燃料サイクル政策に揺るぎないことを示すべきと強調。平山知事は、原子力政策の国民合意に向けた努力を強く要請、国民合意による長期的で明確な方針を示すべきとした。

三村知事は、これまでの青森県民の原子力政策に対する協力姿勢や理解活動の努力を説明、「青森県民の原子力に対する理解は、長い年月により1つ1つ積み重ねたもの。再処理施設のウラン試験開始も理解活動を行いながら慎重な手順を踏んでいる」とした。

その上で、「原子力委員会がなぜ今、直接処分を検討するのか私自身も困惑している。県民と国の信頼関係を損なわないよう、現在の核燃料サイクル政策に揺るぎないことを示すべき」と要請した。また、「コスト比較だけでなくセキュリティーの観点が重要。再処理を基本政策に自立技術を持つ必要がある」と述べた。

平山知事は、県政が常に係わるのは原子力とし、過去12年間を総括するとともに、「核燃料サイクル政策は、情報公開に努めながら十分議論した上で合意形成し、具体的な施策を示して欲しい。今後は高レベル廃棄物処分と原子炉老朽化が大きな課題になる」とした。

また「原子力政策の国民合意に向けた取組みは依然として不足しており、安全規制体制についても見直しを検討する場が必要」と指摘。このほか「最近、地域ではイデオロギーを超えて原子力とどう共生するかを考える新しい芽が出てきており、今後、地域の意志表示がまとまる可能性がある」との見解を示した。


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