[原子力産業新聞] 2004年9月30日 第2253号 <2面>

[東京電力] 報告義務には該当せず

東京電力は、同社の「企業倫理相談窓口」に9月5日に匿名の電話で寄せられた、福島第1原子力発電所(=写真)の補修作業に関する指摘について、「事案について事実関係が明かになった」として、事案の概要とこれに関する同社の判断を24日、発表した。

指摘内容は、「福島第1原子力発電所において4、5年前、夜中の2時頃に弁の部品を緊急調達したことに関して、問題があったことを隠しているのではないか」というもの。東電では調査の結果、「00年10月17日に福島第1・5号機において、残留熱除去系(B系)の電動弁の開閉試験(法令に基づくものではない)を行ったところ、弁が開度57%までしか開かない不具合が確認されたため、翌日から3日間の工期で通常の保守作業の一環として、不具合のあった弁のネジ部の取替工事を実施した」ことが事案に該当すると判断。これについては@当該弁が57%の開度であっても残留熱除去系(B系)全体としての機能に支障がないことから、安全上の問題はないA当時の保安規定に違反するものではない――ことから、法令等に基づき国および自治体に報告義務のある不具合には該当していないとしている。

しかし一方で、今回の調査過程において、当該弁の定例試験のデータシートを作成する際、実際の値ではなく、前回測定時の値を記載し、「問題なし」としていたことが判明。これについては「『安全に問題がなければ国への報告は出来るだけ避けたい』とする当社原子力部門の古い体質があった」として、当時の関係者に対して厳重に注意をするとともに、「過去のこととはいえ、こうした事実が判明したことは誠に遺憾であり、あらためてお詫び申し上げる」としている。


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