[原子力産業新聞] 2004年9月30日 第2253号 <3面>

[FNCA] タイで自然起源放射性物質調査

国際放射線防護委員会(ICRP)やIAEAで規制基準が討議されている「人工的に放射能濃度が高められた自然起源の放射性物質(TENORM)」管理のあり方を討議するため、アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の枠組下で東大、文科省、日揮等の日本の専門家チーム5名が8月23日から27日まで、タイを訪問した。

団長は、FNCA放射性廃棄物管理プロジェクトで日本側プロジェクト・リーダーを務める小佐古敏荘・東大助教授。

タイ訪問中、タイ原子力庁(OAP)の会議室でOAP規制担当官、大学教授、企業の放射線防護専門家と討議を行なったほか、タンタリウムやジルコニウムなどの精製加工企業、肥料製造企業の生産現場で、課題や解決策を討議した。

FNCAでのTENORM安全管理のための協力活動は、2003年度に開始、すでにオーストラリア、マレーシア、ベトナム、中国で討議・調査を行なっている。アジアでは、錫鉱山やモナザイト鉱山からの残滓、石油精製工程でのスラッジ、肥料工場での原料鉱石など、自然起源の放射性物質の管理が必要となる業種が多く、国際的規制基準の審議の進展に伴い、大きな影響を受けることが予想されている。

これまでのFNCAでの調査国でも、国際基準を自国の規制への取り入れ方の考え方や、産業に不必要な経済的負担をかけずに科学的に合理性のあるTENORMの安全管理を行なうための実践面での課題を、具体的に討議した。

今後、この成果を9月下旬にマレーシアで開催されるFNCA放射性廃棄物管理ワークショップに報告し、FNCAとしてTENORM管理の問題にどう取り組むべきか意見交換を行う。さらに来年3月の第6回FNCAコーディネーター会合や将来の大臣級会合に成果を報告する予定。


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