[原子力産業新聞] 2004年10月14日 第2255号 <2面>

[東京電力] 福島第一5号機 配管の交換で停止

 東京電力は12日、運転中の同社の福島第一原子力発電所5号機(BWR、78万4000kW)を、配管交換のために停止することを決定。同5号機は同日18時より停止操作が開始され、13日午前0時に運転を停止した。

 福島県の要請に応えたもので、同県は8日、福島第一・5号機の一部配管について、減肉のために国の定める最小限の厚さを下回っている可能性があるとして、「県民の安全・安心の一体的確保の観点」から、当該配管を直ちに交換するよう東京電力に申し入れを実施。これを受けた東電では、「申し入れを受け総合的に勘案」した結果、同5号機の停止を決めた。

 交換の対象となったのは、第4給水加熱器A系ベント管オリフィス下流エルボ部。同部位には、昨年2月11日〜9月11日に行われた同5号機の第19回定期検査において、国の定める必要最小肉厚(3.8mm)に対して、測定最小肉厚4・3mmの箇所が確認されていた。

 この減肉について、東電では@周辺部肉厚は平均5.3mmあり、減肉は局部的なものA最小許容量に対する余寿命は0.8年と算定されることから、次回定検まで配管の使用を継続しても安全上の問題は生じない――などと判断し、次回定検において配管取替を実施する方針を決定。

 その後、今年8月の美浜発電所2次系配管破損事故が発生した際、福島第一保安検査官が前記点検記録を確認したため、東電より説明を聴取するとともに、原子力安全・保安院原子力発電検査課と協議。その結果、次回定検まで運転を継続しても安全上の問題は生じないと判断していた。

 一方、福島県では9月28日、福島第一・第2全プラントの最も余寿命が小さい資料の提出を東電に依頼したところ、今月5日、当該部位を含む報告を受けたことから、同社に対して万一の場合に備えて万全の対策を取るよう要請をするとともに、7、8日に保安院、東電ならびに専門家から説明を聞くなどして検討を実施した結果、@運転開始後1年以上経過しており、配管が必要最小肉厚を下回っている可能性が否定できないA運転中に技術基準に適合しない状態になることを予測しながら配管の交換を行わないことは、安全・安心最優先の基本認識に反するB東電は配管の減肉は局部的で強度の低下はわずかとしているが、進展予測は難しく、より安全側に立った判断をすべき――などを理由に、当該配管の速やかな取替の申し入れを行うことを決定。福島県の松本友作生活環境部長が8日夜、県庁で東電の武黒一郎常務と会い、交換を申し入れた。


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