[原子力産業新聞] 2004年10月14日 第2255号 <2面>

[原環センター] 地中無線通信システムで 仏・ANDRAから概念設計等受注

 原子力環境整備促進・資金管理センター(原環センター)は7日、同センターが開発を進めている地中無線通信技術について、フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA)から機器性能の予備解析、システムの概念設計および予備試験を受注することになったと発表した。日本側の契約書署名は9月30日。契約金額は15万ユーロ(約2000万円)。

 この技術は経産省からの委託により、原環センターが放射性廃棄物の深地層処分の技術開発の一環として開発を進めているもので、地下の処分場の状況をモニタリングする際、測定データを地中の通信ケーブルを使わずに、無線で地上に伝えるシステム。これまで地中の電波通信の例としては、土木工事等の地盤計測や海底からのデータ送信の例があるものの、地層処分のような地下深い条件で、長期間のモニタリングへの応用はまだ行われていなかったが、すでに同センターでは、スウェーデンの地下研究施設の深度500メートルの岩盤で100メートル以上の距離を通信できることを実験で確認しているという。

 この地中無線通信技術は、深地層処分場での測定データ(温度、湿度、地圧、ひずみなど)を通信ケーブルを使わずに、地中の岩石の中を無線で地上に伝達するのが特徴。このため放射性物質の移行経路となる地下水の通り道になる「ケーブルの通路」が不要となり、処分場の安全面が向上するというメリットが期待できるという。なお電波は地中の岩石の中を伝達するため、空中で使用される通常の電波通信(MHz〜GHz)と異なり、1kHzという低周波数の電波で送受信が行われる。

 今回の契約は、ANDRAが原環センターの研究開発状況に注目し、まず自国の処分技術の概念に応用した場合の無線伝送技術の適用性能を評価するため、機器性能の予測解析、システムの概念設計および予備試験を同センターに発注することとしたもの。なお契約業務の実施についてはANDRAとの契約に基づき、これまで技術開発で協力してきた鹿島建設と連携して実施することとなっている。


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