[原子力産業新聞] 2004年10月21日 第2256号 <3面>

[寄稿] スイスNAGRA グリムゼル試験場が20周年@ − 加来謙一氏

 スイス放射性廃棄物管理協同組合(NAGRA)のグリムゼル試験場では、開所以来20周年を迎えたことを記念し、9月15日から記念行事やテクニカル・ワークショップが開催され、日本からも関係者が参加した。NAGRAで唯一の日本人職員として、日本との技術協力等の業務に携わっておられる加来謙一氏に、今回の記念行事およびスイスの放射性廃棄物処分事業の現状等について、シリーズで寄稿して頂いた。

 NAGRAのグリムゼル試験場は一九八四年の開所以来、今年で20年目を迎えた。このため関係者が集まり、20周年を祝う記念行事が開催された。9月15日と16日には、テクニカルワークショップが開催され、グリムゼルプロジェクトに試験パートナーとして参加している機関を中心に、世界各国より関係者が集まって、これまでに実施されてきた試験の成果や今後の試験計画などについて活発な議論が行われた。テクニカルセッションには、10か国の25の関係機関・大学等から約45名が参加した。

 9月17日の午前中には、日本とスイスの関係者による特別セッションが開かれ、これまでの研究協力の歴史や今後のあり方に関する幅広い情報交換が行われた。日本からは、核燃料サイクル開発機構、原子力発電環境整備機構、原子力環境整備促進・資金管理センター、電力中央研究所、大林組が参加。また、在スイス日本大使も駆けつけ、祝辞を述べた。スイス側からは、NAGRAのH・イスラー理事長が出席者に対するお礼の挨拶を述べた。

 17日の午後には、グリムゼル試験場内において20周年記念式典が盛大に行われた(=写真)。この記念式典には、スイスの政財界、地元関係者、試験パートナー等、総勢約180名が出席し、代表者によるスピーチが行われた。式典後にはグループに分かれて、現在進行中の主な試験として、人工バリア熱試験(FEBEX)、ガス移行試験(GMT)、岩盤中における核種移行試験(CRR・HPF)などの見学が行われた。

 この日は、地元スイスのテレビ局やラジオ局が取材に訪れ、グリムゼル試験場で実施されている試験や記念式典の様子について紹介する様子が、同日の夕方の番組で放送された。

 18日にはグリムゼル試験場の一般公開が行われ、スイスや近隣諸国からも千名を越える見学者が訪れた。訪問者は普段目にすることのない地下研究所の施設を興味深そうに見て回り、各試験施設の前で待機している担当者から試験の説明を受け、原子力発電や放射性廃棄物の問題について活発に意見交換する姿が見られた。(続く)


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