[原子力産業新聞] 2004年11月11日 第2259号 <2面>

[保安院] アルカリシリカ反応性試験結果 安全委に報告

 原子力安全・保安院は10月18日、中部電力の浜岡発電所4号機(BWR、113.7万kW)建設におけるコンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性試験に関する同電力からの報告について、原子力安全委員会に報告した。

 同電力の調査は、8月に一部報道メディアとインターネット上で、浜岡4号機の建設に際して、コンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性試験で試験成績の改竄およびサンプルのすり替えが行われたとの内部告発の報道があったことを受けて実施されたもので、同月12日に保安院に報告が行われていた。

 中部電による聞き取り調査の結果、浜岡4のコンクリート工事で、骨材業者の西部開発では不正行為がなかったものの、同業者の小笠開発では試験成績書の改竄と試験サンプルのすり替えが行われたことが判明。また4号機建物・構築物のコンクリートの安全性については、アルカリ総量の算定結果は2.3キログラム/立方mで、アルカリシリカ反応を抑制できる規制値3.0キログラム/立方m以下であること、アルカリシリカ反応による有害なひび割れが認められず、コンクリートの推定強度は設計基準強度以上であると結論し、コンクリートの安全性が確保されているとした。

 さらに、この機会に1、2、3、5号機のコンクリートの安全性についても調査し、それぞれ安全性が確保されていると結論付けている。

 今後の再発防止対策としては、@試験成績書の改竄防止のため、同電力が試験成績書原本を公的試験機関から直接受領することAサンプルすり替え防止のため、試験サンプルの採取、試験機関への発送を同電力または指定する者が立ち会い確認を行うこと――を挙げている。

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 東京電力の福島第一、第二原子力発電所におけるコンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性試験に関する同電力からの報告について、原子力安全・保安院は10月25日、原子力安全委員会に報告した。

 調査は、中部電力の浜岡4号機で発生した「サンプルすり替え」を踏まえて東電が実施。福島第一、第二のうちアルカリシリカ反応性試験に係わる基準類が整備される以前に建設された原子炉建屋などの建物・構築物と、基準類が整備された以降に建設された福一雑固体廃棄物減容処理建屋などの建物・構築物についての同試験の成績書ねつ造に係わる事実関係とコンクリートの健全性を調査した。

 調査の結果、基準類整備以前の建物・構築物については試験成績書に問題はなくはなく、また建設後に自主的に実施したアルカリシリカ反応性試験および、実機からコアを採取して行った促進膨張試験の結果、アルカリシリカ反応による有害なひび割れが起こる可能性はないことを確認したとしている。

 一方、基準類整備以降の建物・構築物については、コンクリート骨材納入業者の5社に対する聞き取り調査の結果、アルカリシリカ反応性試験について公的機関と骨材納入業者が保管する試験成績書を照合したところ、東洋機工一社がねつ造を行ったことが判明。しかし@当該コンクリートにアルカリシリカ反応による有害なひび割れがないA点検時のコンクリート強度試験結果は設計基準強度を上回っているBコンクリート中のアルカリ総量の算定結果が規制値(3.0キログラム/立方m)以下であった──ことから、コンクリートの健全性が確認できたとしている。

 再発防止対策として、東電が試験成績書本書を公的試験機関から直接受け取るほか、サンプルすり替え防止のため、試験サンプルの採取、公的機関への発送を同電力または指定する第三者が立ち会い確認を行うとしている。


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