[原子力産業新聞] 2004年11月11日 第2259号 <3面>

[米NRC] 照射施設での違反に罰金

 米原子力規制委員会(NRC)は10月26日、今年4月にバクスターヘルスケア社のプエルトリコ照射施設で、作業員2名が照射器の取扱手順を遵守しなかった3件の違反に対して、同社に44400ドル(約460万円)の民事罰金を課した。同施設は、医療器具の滅菌のため、放射線を照射している。

 4月21日、照射施設の2名の運転員らは、放射線源ラックが遮蔽の外でつかえて止まったさい、照射室に入室した。照射施設には安全インターロックがあり、線源が遮蔽外にあるときは照射室に立ち入れないようになっている。しかし同事象発生時は、インターロックがはずされていたか、一時的に使用不能になっていた。

 作業員らは、線量計が高放射線を示したため、すぐに照射室を出たが、それぞれ4.4レムと2.8レムの放射線を被ばくした。作業員の年間許容線量は5レムで、規制限度内であったが、NRCの拡大検査チーム(AIT)のレビューでは、作業員が照射室にい続けたとすると、少なくとも450レムという、致命的になり得る線量を受けていただろうという。

 NRCによると、線源ラックの異常停止時に、放射線レベルやラック位置を確認せず、また照射器製造元の支援を求めずに、手順を無視してインターロックををはずしたことは重大な違反であり、それにより安全系統が動作せず、重傷または死亡の危険性が生じたとしている。

v バクスターヘルスケア社は、@非常事態対応手順の改訂A通常運転手順の年一回の見直しB訓練プログラムの改良と運転員の再訓練C管理者による監視体制の強化――等の是正処置をNRCに報告した。


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