[原子力産業新聞] 2004年11月18日 第2260号 <1面>

[政府] 衆議院本会議が可決、参院へ

衆議院の文部科学委員会は10日、独立行政法人日本原子力研究開発機構法案を審議し、賛成多数で可決した。11日の本会議でも可決(=写真)、法案は参議院に送られた。与党の賛成に対し、野党は名目的な統合で次期長計策定を待ち改めて議論すべき、などとして反対。委員会では同法案とともに、核燃料サイクル政策など約7時間にわたり活発な議論が交わされた。

委員会では自民党2名、民主党7名、共産党と社民党各1名の11名の委員が質問。自民党の馳浩議員と保坂武議員は主に秘密保持義務と情報公開の関係、原子力長計と新法人業務の整合性、原子力委員会と新法人の関係、安全性確保への取組み、施設の廃止措置費用などについて質した。

秘密保持について文科省は、共同開発の技術情報など限られたもので、情報公開や内部通報との両立は可能とした。理事長選任を従来の原子力委員会の同意から意見聴取に変更する点では、目的は権限の明確化、実質的な変更を意図していないと説明。原子力長計と新法人の中期目標との整合性では、主務大臣による中期目標作成に際し、原子力委員会より意見を聴取し整合性を図るとした。

民主党はこうした点とともに、今回の統合が行政改革の名目だけを目指すもので、統合の目的が明確ではないと指摘、併せて核燃料サイクル政策などについて質した。この中で、金田誠一議員は、高速増殖炉の技術的な課題や裁判の状況などから現行の核燃料サイクル政策は実現不可能な状況、再処理を含めて一度立ち止まる必要があると指摘した。

これに対し、中山成彬・文部科学相は「エネルギー資源の乏しい我が国において高速増殖炉を中核とする核燃料サイクル事業は重要であり、立地地域の協力を得ながら、円滑に進めたい」と述べた。統合目的については、原研の基礎技術とJNCのシステム技術を融合し効率的な研究体制を目指すものとした。長期計画策定状況に関し、近藤駿介・原子力委員長は、「多数決ではなく、議論を尽くして合意を得たい。様々な場を通じて様々な意見を聴いている」と応えた。

なお、法案には、自立的・効率的な運営、安全確保、人材育成と大学・民間企業との連携推進などの附帯決議を附与することを、全会一致で可決した。


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