[原子力産業新聞] 2004年11月18日 第2260号 <2面>

[関西電力] 関電が「今後の取り組み」を発表

関西電力は13日、美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえた、同社の今後の取り組みについて、取りまとめて発表した。

これは現在、美浜発電所3号機2次系配管破損事故のさらなる原因究明および、抜本的な再発防止対策の確立に向けて取り組んでいる関電が、原子力発電所の安全確保対策を強化するとともに、福井県との共生をより一層進めることを目的に取り組むこととしたもので、安全確保策、福井県との共生に向けた決意について明記されている。

具体的には安全確保対策について、取りまとめでは、これまで協力会社に外注してきた2次系配管肉厚管理について、今後は関電が責任を持って管理運用を行うとともに、「原子力保全機能強化検討委員会」の議論を踏まえ、保全業務全般についても同社が自ら責任を持って管理する体制を強化するなど、検討結果に基づいて改善策を実施するとともに、今回の事故の背景が原子力発電所の高経年化にあることから、運転開始以降30年以上を経過した高経年プラントの2次系配管肉厚管理については、余寿命10年未満になるものはすべて点検を行うなど、2次系配管の点検を強化し、積極的に耐食性の優れた材料への取替えを実施することを明記。また、高経年プラント全体の安全確保対策にも、同社が責任を持って取り組む方針を示している。

さらに今回の事故を踏まえ、安全協定については、県の要請に基づく運転停止など、必要な見直しに向けて福井県・立地町と協議を開始することも、あわせて明らかにされている。

一方、地域との共生については、@再発防止に向けて責任体制や指揮命令系統を明確化するための社内体制整備の一環として、また原子力発電事業の基盤を福井県に置き事業を運営するという地域共生の観点から、05年には原子力事業本部を福井県に移すことを具体化するよう考えており、労働組合との協議を進めるA長期的な福井県の発展および地場産業に繋がるよう、福井県が進める「エネルギー研究開発拠点化構想」の具体化について、全社をあげて取り組むBこの構想において新たな課題となっている高経年化研究や高度医療研究の推進に積極的に協力する――としている。

なお関電ではこれらについて「具体的取り組み」として、「いろいろな機会に西川知事が発言しておられることも踏まえ、当社として何をなすべきかということを、事故以来、懸命に考えてきたものである。本日は、その骨格がまとまったので、これらに全力で取り組むことを福井県民の皆様にご報告し、お約束したい」としている。


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