[原子力産業新聞] 2004年11月18日 第2260号 <3面>

[米NEI] 世論調査 原子力「賛成」67%(過去最高)に

 米原子力エネルギー協会(NEI)は、原子力に賛成の意を示す人が過去最高の67%に達したとする、今年10月に行った全米世論調査の結果を発表した。「原子力に反対」とする人は26%で過去最低。調査を実施したA・ビスコンティ氏は、「電力不足や不安定な中近東情勢、さらには原子力が将来のエネルギー源として重要との認識から、原子力支持が増えた」としている。

 この調査は、NEIがビスコンティ研究所と調査会社NOPワールド社に委託して行っているもの。調査は10月14日から17日、全米18才以上の成人1000人に対して、電話による聞き取り調査で行った。誤差は3ポイント。原子力に関する意識調査は、1983年以来、21年間続けて行われている。

 今回、原子力を「強く支持する」と答えた人は30%、「やや支持する」が37%で、「支持」は合計67%。一方、「やや反対」は14%、「強く反対」が12%で、「反対」は合計26%だった。「強く賛成」と「強く反対」とがほぼ3対1の大差に開いた。過去20年間の間に、原子力賛成は49%から67%へ増加、「反対」は46%から26%へと減少したことになる。

 「原子力に賛成」とした男性は74%、女性は61%。自ら「環境保護主義者」と考えている人の63%は原子力に賛成、また共和党支持者は82%、民主党支持者の57%が「賛成」とする。地域別には、米国南部で原子力支持率が高く(71%)、西部で低い(63%)結果となっている。

 原子力に高い支持が集まる一方で、原子力発電が米国の電力供給に果たす役割はあまり知られていない。原子力を「今日の主要な電源の1つ」と認識している人は11%にすぎない。また、「大気汚染防止には原子力が最適」と考えている人は29%のみ。ビスコンティ氏は、「原子力が電力供給に果たしている役割が理解されれば、原子力への支持はより堅固なものになるだろう」としている。

 原子力発電所の新規建設については、71%が将来のオプションとすることに賛成、62%は居住地に最も近い原子力発電所サイトでの増設に賛成した。

 またコミュニケーションが原子力発電所建設の賛否に大きな影響を与えることも検証された。「最も近い原子力発電所での増設」という設問を与えられた人に、原子力発電の大気汚染防止、原子力規制委員会による監視、改良型炉の最新技術、世界の不安定な地域にある化石燃料への依存度減少など、原子力にプラスの情報を与えた場合、「建設賛成」は62%から72%へ増加、「建設反対」は32%から23%へ減少、それぞれ10ポイント程度、原子力賛成方向に変化した。


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