[原子力産業新聞] 2004年11月25日 第2261号 <2面>

[産構審・総合資源エネ調査会] エネ環境合同会議 京都議定書約束達成案を審議

 産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会のエネルギー環境合同会議は18日会合を開き、京都議定書の約束達成に向けた道筋について審議した。原子力に関しては約束達成のため安定運転が必要不可欠とされるとともに、電力自由化と原子力推進の整合性などの指摘も出された。

 政府は京都議定書の来年2月の発効に対応、今年度中に「京都議定書目標達成計画」を策定する。この計画は現行の「地球温暖化対策推進大綱」を基礎として作成されるが、経済産業省は「増税なき削減約束の達成」を掲げる。

 今会合で示された省エネ法の抜本強化を含む約束達成に向けた道筋は、「増税なき削減約束の達成」の具体策を示したもの。同省によると、2003年の温室効果ガス総排出量は90年比8%増、この内4.9%増は原子力発電所の長期停止が原因。実質的には同3.1%増、京都議定書目標に対し9.1%増だが、現行対策だけでは2010年で3.2〜5%増、林野庁試算による吸収源対策3.1%減を加えても目標達成には6.1〜7.1%の追加削減が必要。

 このため、省エネ法の抜本強化、代替フロンの追加削減、京都メカニズムの本格活用などの追加対策を実施する計画だが、この計画では、2002年で2.3%増、2003年で4.9%増の影響を与えた原子力発電所の安定運転を前提とする。

 会合では、この点への留意が必要との指摘が出されるとともに、佐々木元委員(経済同友会地球環境・エネルギー委員長)や寺島実郎委員(日本総合研究所理事長)が、長期的な視点からも原子力の位置付けは重要と指摘。木元教子委員(原子力委員)は「電力自由化で発電による化石燃料増加の可能性があるが、自由化と原子力の関係をどう考えるかが課題」とした。


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