[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <1面>

[原子力安全・保安部会] 検討委、高経年化対策の検討開始

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の高経年化対策検討委員会(委員長=宮健三・慶應義塾大学院教授)は12月16日、福井市内で第1回会合を開催、検討の視点と課題などを議論した。今後、月1回程度で委員会を開き今年3月に中間とりまとめ、その後ワーキンググループも開催し同7〜8月頃には全体とりまとめの予定。

 検討の視点は、社会一般の視点から考える、事業者の自主保安を大前提とする、科学的合理性に基づく、透明性の確保、各国や他産業に学ぶ、実効的な対策及び規制を行うなど。検討の課題では、高経年化対策の内容の明確化とともに、審査(評価)面、実行(検査)面、調査研究面について保安院が案を示した。

 審査面はこれまで九プラントの高経年化対策の評価を実施し、知見や技術データが徐々に蓄積され、海外でも経年変化事象を評価・管理するための民間規格や政府ガイドラインなどの整備が進んでおり、これらの活用が可能とする。実行面は長期保全計画に基づく追加的な点検の実施方法が未決定などが課題。調査研究面は効率的実施のための体制などが必要とする。委員からは、人材や技術力の維持・育成が重要、蓄積データを活かすシステムが必要などの意見が出された。

 高経年化に関しては1996年に当時の資源エネルギー庁が基本的な考え方をまとめているが、同委員会では5年後に運転開始後30年を超えるプラントが20基となることを踏まえ、最近の知見や技術データを基に各課題を検討する。


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