[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <12面>

[阪大核物理センター、ソニーなど] LSIソフトエラー評価中性子源を開発

 大阪大学核物理研究センターは12月7日、ソニー、ルネサンステクノロジ、富士通研究所と共同でLSIの宇宙線起源ソフトエラーを評価するための白色および単色高速中性子源を開発したと発表した。

 白色中性子源は、同センター設置のリングサイクロトロンで400MeVに加速された陽子ビームを鉛ターゲットに照射し生成する。地上での宇宙線起因中性子とよく似た連続エネルギー分布を持ち、400MeVの強度により宇宙線テストに比べ約一億倍の効率でソフトエラーを検出できる。

 単色中性子源は、必要とするエネルギーの陽子ビームをリチウム7ターゲットに照射し生成する。14〜392MeVの中性子を任意に照射することが可能で、精度のよいソフトエラー解析が可能。

 宇宙線に含まれる高エネルギー中性子に起因するLSIソフトエラーは、100ナノメートル以降プロセス、特にロジック回路で構成するSRAMにおいて関心を集めている。しかし白色中性子源はこれまで米国・ロスアラモス国立研究所の中性子散乱センターが有するのみで、国内半導体メーカーは国内設置を要望していた。今回完成した中性子源の強度はロスアラモスの約70%だが、現在、加速器の性能向上計画を進めており、来年度には世界最高強度の高エネルギー中性子線の利用が可能になる見通し。


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