[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <12面>

[原子力安全委] 分科会 美浜事故調報告を検討

 原子力安全委員会の美浜発電所3号機二次系配管事故検討分科会は12月14日、第六回会合を開催し、配管破損メカニズム解明について、経産省原子力安全・保安院の事故調査委員会からの報告を検討した。

 前日の13日に第7回会合で、同調査委員会が配管破損メカニズムについて一応の調査結果を取りまとめたことを受けて、今回会合では、今後の調査方法や視点等を検討した。

 保安院は原子力安全基盤機構と日本原子力研究所の協力を得て、@配管破損部の調査Aオリフィス(流量計)近傍配管流況解析B配管破損挙動解析C事業者による調査(減肉の進展とトリガー事象の有無)――などを実施した。その結果、減肉メカニズムとして、配管破口部周辺の外面には有害な傷、割れ、著しい腐食などが認められず、減肉部内面にはエロージョン・コロージョンに特徴的な鱗片状模様が全面的に見られた。破損箇所も偏流の発生しやすいオリフィス下流部であり、復水の温度(約140℃)もエロージョン・コロージョンの発生しやすい温度であったことが判明した。

 破損メカニズムについては、破口部に外部荷重の痕跡、有害な傷、割れ等が確認されず、運転内圧により延性破壊が発生したと推定されるとした。また、運転パラメータ、周辺の作業状況、作業員の聞き取り調査等から、トリガー事象は認められなかったとした。

 さらに、今回の調査で得られた知見は日本機械学会のタスクフォースで検討し、来年9月には結論が出され、学会策定の規格が規制に反映される、などと今後の見通しを明らかにした。

 委員から「ハード面のみならず、マネージメントなどのソフト面も検討すべき」など指摘があり、分科会としては、今後の保安院の調査を見守ることとなった。


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