[原子力産業新聞] 2005年1月13日 第2266号 <2面>

[原子力安全委] 耐震指針検討分科会 「残余のリスク」取扱い等検討

 原子力安全委員会原子力安全基準・指針専門部会の耐震指針検討分科会は12月17日、第14回会合を開催し、発電用原子炉施設に関して、「残余のリスク」の取り扱いと確率論的安全評価(PSA)の導入に関する論点について検討した。

 「残余のリスク」とは、設計基準地震動を超えた地震動によるリスクのこと。設計基準地震動の設定は「確率論的安全評価による直接的な定量化」以外の方法で行うことが適切であると合意されているものの、この設定次第で「残余のリスク」が増減する。そして、設計基準地震動を超える地震動の発生については、確率論的に想定することとなる。

 この点で、委員の間で意見が異なる。「PSAによる安全評価に幅がありすぎるので、PSAによる「残余のリスク」の評価を指針に盛り込むのは妥当でない」とする見解と「設計基準地震動を超える地震が起こるものと想定する以上、PSAで「残余のリスク」を評価することを指針に盛り込むべきだ」とする見解に分かれ、結論を次回以降に持ち越した。

 一方、確率論的安全評価の導入に関連して、「法律の枠内で審査指針を作るのは苦しいとの印象を受ける。リスクの問題は法律では担保できない」「リスクの存在は、耐震性に限った問題ではない。分科会では多段階規制を十分議論するが、指針類への取り込み等についての最終的な取り扱いは原子力安全委員会に任せる」などの意見も寄せられた。

 次回会合では、引き続いて「残余のリスク」の取り扱い等を議論する。


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