[原子力産業新聞] 2005年1月20日 第2267号 <2面>

[中国] 新国営公社を設立へ

沿岸部の急速な経済発展に伴う電力不足に対応するため、中国は原子力発電容量を現在の約800万kWから、今後15年間に約5倍にする目標を立てているが、原子力発電導入を加速するため、新たな国営公社「国家核電技術公司(CNPTC)」の設立準備が進められている。一方、温家宝首相は7日、大亜湾原子力発電所を視察し、原子力発電所建設を推進するよう指示している。

国家核電技術公司の設立構想は、曾培炎副首相が11月に明らかにしたが、このほど北京に準備室が設立された。準備室の室長には、核工業集団公司(CNNC)等の副主任を務め、現在、江蘇核電有限公司理事長の陳肇博氏が就任した。国家核電技術公司の設立は今年後半以降の模様だが、同公司トップにも陳氏が就任するものと見られる。

同公司の設立趣旨について曾培炎副首相は、原子力発電開発を促進するためとした。具体的には、海外からの原子力発電所の導入にあたって、入札仕様書の作成、入札の実施と海外企業との交渉、技術移転の実施などを行うという。

中国では、1998年から2003年まで首相を務めた朱鎔基氏のもとで、財政状態の悪いCNNC等の大規模国営会社の改革が進められた。しかしその反面、高い経済成長とともに伸び続ける電力需要への対応が遅れ、中国南部を中心に電力危機が起こっている。原子力発電についても、1997年末を最後に、昨年7月、国務院が4基の建設を承認するまで、約7年間、発注が途絶えていた。

2002年に胡錦濤国家主席は、原子力発電の積極推進に大きくかじを取り、国家発展改革委員会は、2020年の中国の原子力発電設備容量を3600万kWとする原子力発電長期計画を発表した。

一方、温家宝首相は今月7日、大亜湾原子力発電所を視察、原子力発電は、「クリーンエネルギーの発展を推進し、環境を保護し、経済・社会のエネルギー需要を満たすための効果的な選択肢だ」と強調。原子力発電を重視し、建設を推し進めなければならないと指摘した。

政府の方針転換を受け、現在では既設サイトへの増設と新規サイトでの建設準備、国産大型炉の開発などが進められている。しかし大型炉の国産化が遅れるなか、新増設プラントは当面、輸入炉が中心となると考えられ、米ウェスチングハウス、仏アレバ、ロシア・アトムストロイエクスポルト等の原子炉供給者が、激しい競争を繰り広げている。


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