[原子力産業新聞] 2005年1月27日 第2268号 <1面>

[原子力委員会]「2040年頃にFBR導入」

原子力委員会は20日に、仏電力公社(EDF)のベルナール・タンチュリエ会長付顧問、同ミッシェル・ドゥペス原子燃料本部長代理を招き(=写真)、仏の原子力発電について、また21日には、加藤義章・原研理事、辻井博彦・放医研重粒子医科学センター長、中川仁・農業生物資源研究所放射線育種場長、奥部滋朗・住友電工ファインポリマー監査役、碧海酉癸・消費生活アドバイザーを招き放射線利用について、それぞれご意見を聴く会を開催した。

EDFの両氏は、90万kW級、130万kW級、150万kW級の合計58基・6300万kWにより、2004年で427TWhの電力を供給、プラント稼働率は82・8%まで上昇、90万kW級20基でMOX燃料を装荷中など、同国原子力発電の現状を説明。

今後は順次PWRからEPR(欧州加圧水型炉)にリプレースするが、EPRの次世代炉ではナトリウム冷却のFBRを導入する方針を示した。2040年頃から導入の計画で、国際協力プロジェクトであるGEN−Wに期待。「電力事業者としてはナトリウム冷却炉が必要、『もんじゅ』の運転再開に期待する」とした。このためには2020年頃の実用炉の完成が必要とし、FBR実用化まで使用済みMOX燃料は中間貯蔵する。

一方、最近1年あまりで欧州の電力価格が、MWhあたり24ユーロから30ユーロ以上に上昇、価格変動の要因にドイツの風力発電の不安定さを指摘、脱原子力政策を掲げた国では政策再検討の可能性があるとの認識を示した。

21日開催の放射線利用では、加藤氏が放射線を広義に量子ビームとして捉えた最近の新しい利用技術について、辻井氏が重粒子線やPETなど医学利用の現状と課題について、中川氏が放射線育種の成果と展望について、奥部氏が産業利用の現状と将来について、碧海氏が食生活との関わりや、くらしと放射線のアンケートについて、それぞれ報告・提言した。


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