[原子力産業新聞] 2005年2月3日 第2269号 <1面>

[中部電力] 「耐震裕度向上工事」を実施

中部電力の川口文夫社長は1月28日の定例記者会見で、同社の浜岡原子力発電所1〜5号機について、最新の知見を取り入れ耐震裕度を向上させるため、自主的に耐震裕度向上工事を行うことを明らかにした。1、2号機については2008年3月まで定検を延長して実施、3、4、5号機については今後2年間程度かけて実施、想定東海地震の2〜3倍の揺れにあたる1000ガルの想定地震動(=図)に耐えられるようにする。同社長は、「地域の皆様に安心していただくための重要な取組み」と説明している。

浜岡原子力発電所は現在、想定東海地震を上回る安政東海地震や、さらにこれを上回るマグニチュード8.5の限定的な地震を想定、岩盤上で600ガルの揺れに対しても、耐震安全性を確保している。中部電力は、1978年に作成された現行耐震指針以前に建設された1、2号機について、同指針に適応していることを確認。また、2001年に国の中央防災会議が最新の知見に基づき想定した東海地震の地震動についても、全号機の耐震安全性を確認している。

しかし現在、原子力安全委員会が「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に、最新の知見を反映させる検討を行っており、同社としてはこれを先取りする形で同発電所の耐震性を向上させる工事を行うこととした。

川口社長はこれにより、「想定東海地震の2倍から3倍に相当する揺れに対しても耐震裕度を確保できる」と強調した。

具体的には、現在の基準地震動600ガルに対して、3割程度余裕を持たせた目標地震動1000ガル(想定東海地震の2〜3倍の揺れ)を設定、全号機に対して耐震裕度向上工事を行う。

工事の内容は、全号機に対して、@屋外原子炉機器冷却設備の改造A排気筒の改造B屋外油タンクの追加設置。また、1、2号機に対しては、@屋内機器の基礎部の改造A屋内配管のサポートの追加設置――もあわせて行う。

1、2号機の工事は大規模になることから、炉心シュラウドの取替工事とあわせて行い、現在予定されている定検期間を2008年3月まで延長して行う。

川口社長は耐震裕度向上工事を、「万全の備え」により「地域の皆様に安心していただくための重要な取組み」と、その重要性を強調している。


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