[原子力産業新聞] 2005年2月10日 第2270号 <2面>

[総合資源エネルギー調査会] 対策状況・今後の課題等審議

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の高経年化対策検討委員会(委員長=宮健三・慶應義塾大学院教授)は1日、第2回会合を開催し、事業者の高経年化対策の状況、技術的視点からの今後の課題などを審議した。

事業者の高経年化対策の状況は、大出厚委員(東京電力原子力本部原子力運営管理部長)が、これまでに実施した国内9プラントの高経年化対策技術評価における評価対象機器選定の考え方、定期安全レビュー(PSR)と高経年化対策(PLM)の関係、技術開発・指針類策定・新技術基盤組織など今後の取組みなどについて説明した。

技術的視点からの今後の課題は保安院が叩き台として6項目を示した。@高経年化事象及び発生要因の明確化A技術対策の重点化B重要設備の特定C対策開始時期D仮定期間の妥当性確認E潜在的事象への対応──など。発生要因の明確化では発生事象のデータベース化をはじめとする情報基盤の構築が重要とし、重点化では高経年化を踏まえた異常傾向予測、監視対象部位や監視手段の追加などを指摘。高経年化対策の開始時期ではこれまでに得られた評価データや新たな対象機器を考慮し運開後30年としている現状の妥当性を再確認。また現在、事業者が60年としている技術評価上の仮定期間も再度確認の必要があるとしている。

委員からは「全ての部位を検査するという考え方は経済合理性に合わない」、「費用は必要でも検査頻度を高めるべき」、「如何に一般市民の安心を得るかという視点が重要」などの意見が出された。

委員会は次回以降、高経年化対策を適切に進めるための国と事業者の役割などの制度設計や品質保証体制の確立などの議論も進める。


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