[原子力産業新聞] 2005年2月10日 第2270号 <3面>

[米政府] 一般教書で原子力推進の姿勢確認

ブッシュ米大統領は2日、議会の上下両院合同会議で一般教書演説を行い、エネルギー政策について、「安全でクリーンな原子力」を推進する姿勢を強調した。

同大統領は今年の施政方針を示す一般教書の中で、エネルギー問題について、「我々の経済が成長するためには、安価で環境に優しい、安定したエネルギー供給が必要だ。約4年前、包括的エネルギー戦略を議会に提出した」と述べ、議会に対して「4年間の議論は十分なはずだ」として、議会が迅速に包括的エネルギー法案を通過させるよう求めた。

ブッシュ大統領は、包括的エネルギー戦略について、「省エネと代替エネルギーを推進し、送電網の近代化を進め、安全でクリーンな原子力を含むエネルギーの国内生産を推進するもの」とし、早期の議会通過を呼びかけた。

【ワシントン2日共同】ブッシュ大統領は一般教書演説で、イランを「主要なテロ支援国家」と非難し、ウラン濃縮計画放棄やプルトニウム再処理の断念を要求。核問題解決のため、欧州諸国と外交解決を模索する姿勢を示した。北朝鮮の核問題ではアジア各国と連携し、外交努力で金正日体制を完全核放棄に導く考えを表明、強硬姿勢を後退させ、イランへの対応とは温度差を見せた。

今月下旬の大統領の訪欧でもイラン情勢が大きな焦点となる見通し。対イラン政策の隔たりが今後、米欧関係の新たな不安定要因となりそうだ。ブッシュ政権は核問題で春先まで、英国、フランス、ドイツの主導する外交交渉を見守る方針。しかし、ウラン濃縮計画の全面的中止など完全核放棄の「戦略的決断」(米高官)に踏み切らない限り、経済制裁をにらんだ国連安全保障理事会への付託を実現させる考えだ。


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