[原子力産業新聞] 2005年2月10日 第2270号 <4面>

[核融合科学研究所] 入力エネルギー世界最高を達成

核融合科学研究所はこのほど、超伝導大型ヘリカル装置(LHD)を用いた高温プラズマの長時間加熱生成保持実験において、プラズマ入力エネルギー値1・3Gジュールの世界最高を達成した。

核融合炉の点火には、プラズマに5Gジュール程度のエネルギーを入力する必要があるが、今回の成果はこの点火レベルにかなり近づくもの。これまではフランス・カダラッシュ研究所のトカマク型装置「トールスプラ」が持つ1・07Gジュールが世界最高。フランスはこの性能を自国の核融合技術レベルを証明するものとして、国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致活動にも活用してきた。

今実験では磁場強度2・75テスラにおいて、プラズマ温度2000万度、密度7〜8兆個/立方cmの高温プラズマを31分45秒間連続して閉じ込めた。加熱はイオンサイクロトロンを主とし、マイクロ波と粒子ビームも付加した。

高温プラズマを長時間加熱し生成保持するには、プラズマからの熱を受け止める受熱板の温度上昇の抑制が不可欠。今実験ではLHDの特徴を活かし、プラズマ生成中の閉じ込め磁場の僅かな変化を繰り返す新しい技術を開発。これにより効率良い熱負荷の分散に成功したという。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.