[原子力産業新聞] 2005年2月17日 第2271号 <1面>

[原子力委員会] 「TRU併置処分」など検討

原子力委員会は10日、第18回新計画策定会議を開催し、「高速増殖炉サイクル技術の研究開発のあり方」を取りまとめるとともに、TRU廃棄物と高レベル廃棄物の併置処分や、英国からの返還低レベル廃棄物を高レベル廃棄物で代替して返還を受ける提案など、放射性廃棄物処理処分の検討を開始した。

高速増殖炉では、@来年度末に2015年までの研究開発計画とそれ以降の課題を取りまとめるA「もんじゅ」の運転を早期に再開し10年以内に所期の目的を達成する―などが骨子。放射性廃棄物処理処分では、高レベルとTRUの併置処分や返還廃棄物に関する仏COGEMA社と英国BNFL社の提案について検討すべきなどを盛込む方針。

「高速増殖炉サイクル技術の研究開発のあり方」はこれまで2回の議論を踏まえ作成。来年度末の実用化戦略調査研究フェーズUの取りまとめに際しては、@高速増殖炉サイクルの実用化時期、プルトニウム需給、再処理などを考慮した軽水炉サイクルから高速増殖炉サイクルへの合理的移行のあり方A研究開発が抱える不確実性や研究開発資源の効率的使用などに対応する国際的な共同研究・共同開発のあり方B研究開発の結果が当初設定した目標に達しない場合に代替し得る技術の確保――などに配慮することを求めている。

放射性廃棄物処理処分は今回、事務局が論点とその考え方の案を示した。高レベルとTRUの併置処分は現在、電気事業者と核燃料サイクル開発機構が技術面を検討中だが、併置により経済性向上や処分場数削減が可能で、国はこの検討結果の妥当性を確認した後、実施のための制度面を検討すべきとする。

仏COGEMA社の提案は低レベル廃液の固化方法をビチューメン(アスファルト)固化からガラス固化に変更するもの。1100本(約250立方m)を28本(約5立方m)に低減、現在、技術的成立性などを電気事業者が検討中だが、国は検討結果の提出後、妥当性を評価すべきとする。

また、英国BNFL社の提案は低レベル廃棄物を高レベル廃棄物に代替して返還するもの。セメント固化体約4500本と雑固体6000本を、ガラス固化体150本とし、返還輸送量の大幅削減が可能なため、国は交換の指標の妥当性や制度面を検討すべきとする。

これら論点と考え方に対して委員から特に反対は無く、新長計に盛込んだ上で、関係各機関が検討の場を設ける見通し。このほか委員からは、高レベル放射性廃棄物の処分地に関して国が積極的に関与すべき、事業規制と物質規制について本格的に議論する時期ではないか、劣化ウランの扱いに関する検討も必要、などの意見が出された。


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