[原子力産業新聞] 2005年2月17日 第2271号 <3面>

[【ウィーン14日共同】] サイクル国際管理構想の調整が難航

【ウィーン14日共同】核燃料の生産から廃棄物処理に至るサイクルの国際管理構想を検討している国際原子力機関(IAEA)の専門家委員会が、参加各国の意見を調整できず、構想の実現に向けた提言の一本化を事実上、断念したことが14日、分かった。委員会関係者が明らかにした。

IAEAのエルバラダイ事務局長は、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で核燃料の国際管理の重要性を訴える一方、実現には時間が必要として、ウラン濃縮や、プルトニウムを抽出する再処理施設の新規建設の5年間凍結を提案する予定だ。

委員会は14日から最終の第4回会合を開催、2月末のIAEA理事会に報告書を提出するが、報告書は現行の核燃料サイクルの問題点を列挙し、解決策の案を羅列するだけの形となる見通し。

関係者によると、委員会ではブラジルなど原子力開発新興国を中心に構想への反対論が続出、日本など開発先進国も自国の利害などから実現に難色を示した。

第3回会合で合意した使用済み核燃料の管理や廃棄物処理について、有志国が多国間管理を行う構想は、報告書に解決策の一部として盛り込まれるという。


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