[原子力産業新聞] 2005年2月24日 第2272号 <4面>

[原研] 供給安定性向上も可能

日本原子力研究所は10日、都内で第8回革新的水冷却炉(FLWR)研究会を開催した。この中で原研は核燃料サイクル長期シナリオの1つとして、FBRとFLWRの共存ケースを示し、発電炉型の多様化により電力供給の安定性向上も可能と提案した。

原研が示した核燃料サイクルの長期シナリオは大きく分けてプルサーマル長期継続、FLWR導入、FBR移行の3種類。プルサーマル長期継続では使用済MOX燃料長期貯蔵と1回再処理の2ケース、FLWR導入では本格導入時期により2050年と2030年の2ケース、FBR移行では全面移行とFLWR共存の2ケースをそれぞれ示した。2030年以降の原子力発電設備容量は5800万kWで一定、2020年以降の濃縮ウラン軽水炉燃焼度60GWd/tなどの前提条件を設定、各ケースで2150年までの炉型別発電設備容量、再処理量、SF貯蔵量などを示した。

FBRとFLWRの共存シナリオを検討したのは今回が初めて。同ケースは2025年頃から部分MOX炉のFLWRへの移行を進め、2050年頃からはFBRを導入、併せてFLWRの転換比をそれまでの0・89から1・04にするというもの。2100年頃に軽水炉、FBR、FLWRの設備容量比率をほぼ同等とし、その後FBR約60%、FLWR約40%の構成比とする。これにより2120年頃から再処理量が800d/年に低減、SF貯蔵量も2100年以降は5千トン以内とFBR全面移行ケースとほぼ同等への抑制が可能(図)。また、天然ウラン累積消費量を2100年以降は究極的に10%程度の増加に留められるという。

原研では、FLWRの導入により、使用済MOX燃料貯蔵量の際限ない増大を抑制できるとともに、FBRの実用化が大幅に遅れる場合には増殖型への移行によりウラン資源消費量を抑制。FBR実用化以降でもFLWRを適正な規模で共存させることは電力供給の安定化に貢献できるとする。


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