[原子力産業新聞] 2005年3月24日 第2276号 <1面>

[原子力安全委員会] 高経年化テーマに報告会

原子力安全委員会は22日、東京千代田区の都道府県会館で材料劣化・高経年化対策技術に関連した安全研究をテーマに「第4回安全研究成果報告会」(=写真)を開催した。

鈴木雅秀・原研原子炉安全工学部次長は、原研の材料劣化・高経年化対策技術に関する安全研究について報告、材料劣化関連では、原子炉圧力容器鋼の照射脆化、炉内構造材の照射誘起応力腐食割れに関する基礎的な理解を深めるとともに、高度な破壊強靱性評価手法などを確立、今後基準類への反映を図るとした。

安全基盤機構の大石材料評価グループ長は、材料劣化・高経年化対策技術に関する実証研究等について、保全・検査関連では、原子力発電施設検査技術、炉内構造物等特殊材料溶接部検査技術、シュラウド等の非破壊検査技術など、応力腐食割れ関連では、ニッケル基合金の応力腐食割れ進展評価手法、照射誘起応力腐食割れ評価手法など、材料評価関連では、原子力プラント機器高度安全化対策技術などの概要を報告した。

原研東海研の渡辺安全評価研究室主任研究員は、米国の加圧水型原子力発電所における原子炉圧力容器上蓋損傷事例について、02年2月に判明したデービスベッセ原子力発電所でのホウ酸の漏えい、圧力容器上蓋ノズル亀裂、上蓋腐食のメカニズムを報告した。

結論として、一次冷却剤の漏えいとホウ酸堆積がかなり以前から発生していたこと、ホウ酸による低合金鋼の腐食速度が大きいこと、また圧力容器上蓋の目視検査が十分に行えない構造であったこと、腐食生成物の兆候が認められていたにもかかわらず腐食を見つける機会を逃したことなどを指摘した。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.