[原子力産業新聞] 2005年3月24日 第2276号 <3面>

[英国土木学会] 「エネルギーで国家的議論を」

英国土木学会(ICE)は11日、英国における将来の原子力発電に関する世論調査結果を発表、英国成人で新規原子力発電所建設に賛成しているのは25%のみであり、再生可能エネルギーへの期待が 過剰であるとして、「エネルギー問題への無関心に取り組むべきだ」としている。

ICEは、無作為に選ばれた英国の16歳以上の男女516人と、電話インタビューで調査を行った。

新規原子力発電所建設に肯定的な答えをした人は25%で、男性の方が支持率が高く40%、女性は約10%だった。中高年男性の支持率は高かったが、若い女性では低く、年齢別では60歳以上の男女では28%が新規建設を支持したのに対して、16歳〜29歳の男女では18%にすぎなかった。

新規原子力発電所の建設を支持する理由としては、原子力の高信頼性が62%、低コストが37%、温暖化ガス削減が35%、環境負荷を低減するが30%などとなっている。

ICEは、現在、英国の電力需要の22%を賄っている原子力発電所のうち、軽水炉のサイズウェルB以外の22基が2023年までに閉鎖されることを指摘、この供給「ギャップ」が問題になるとした。

ICEによると、英国の一般公衆は、再生可能エネルギーを過大評価しており、平均値で2020年までに、電力の約3分の1を再生可能エネルギーで供給できると考えているが、同学会は最大でも15%と評価している。

ICEエネルギー委員会のD・アンダーソン委員長は、「公衆のほとんどは、たった1基の原子力発電所を風力発電で置きかえるために、何基の風力発電機が必要なのかといったことさえ、考えようともしない」とし、「公衆が再生可能エネルギーをあてにしていることは、最も懸念される」と警告。「大規模な投資を行わなければ、15年以内に、輸入天然ガスに大幅に依存することになる」と、再生可能エネルギーへの過剰な期待に警告をならした。

ICEは、将来のエネルギー供給と原子力発電の役割について、公衆、政府、関係者を巻き込んだ「知識と理性に基づく国家的な議論」の必要性を指摘、エネルギー問題への無関心に取り組むよう求めている。


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