[原子力産業新聞] 2005年4月14日 第2279号 <2面>

[日本原子力技術協会] 設立総会 初代理事長に石川迪夫氏

 日本原子力技術協会は13日午後、東京・千代田区のホテルで設立総会を開き、役員を選出するとともに、2005年度の基本事業計画と予算を承認した。同時に開かれた理事会で、理事長に石川迪夫・元北海道大学教授(=写真)、専務理事に野田宏・元東電原子力・立地業務部部長を選び、執行部の人事を固めた。

 理事長に選ばれた石川氏は総会で、原子力産業界が「重大な岐路」にあるとの共通の認識にもとづき、原子力産業界の活性化を図る「切り札」として、原技協が設立されると、その意義を強調。協会の使命は、@運転情報の収集・分析・評価A安全文化の推進B民間規格の整備支援――の三本柱だとした。この上で、「技術者としての正義と誇り」をもって謙虚かつ熱意を込めて取組み、わが国の原子力産業界を活性化する組織にしたいと抱負を述べた。

 総会後の記者会見で石川理事長は、原技協の役割について、原子力産業界の「自警団」、いわば「新撰組」だとし、民間が科学的・合理的な規制を自ら行うことを目指す組織だと述べた。

 設立総会までに会員となったのは百十社。電力、メーカー、エンジニアリング会社、原子力研究・開発機関・団体等が主な会員。

 初年度となる2005年度は、経営基盤の構築と組織の整備を行うとともに、事業運営を円滑に進めるための仕組みやルール作りを行う。また、同協会の柱となる、@安全文化の推進A情報の収集・分析・活用B民間規格の整備促進C技術基盤の整備D原子力技術者の育成・維持――の5つの事業のうち、今年度は、電中研・原子力情報センターとNSネットの各事業からの円滑な業務移行・継承と発展を目指す。また、民間規格の整備では、関係機関との連携を図りつつ進める。

 今年度の予算は総額13億6000万円。会費収入を7億円、受託事業収入を6億6000万円見込む。活動費では、情報分析に2億6000万円、NSネット事業に8000万円弱、規格基準に6億3000万円を充てる。今後、NSネットを清算し、また受託事業を精査することから、6月末までに見直しを行い、6月に開かれる定例総会の承認を得る予定。


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