[原子力産業新聞] 2005年4月28日 第2281号 <1面>

[原研] 安全性でNEA加盟国と協力

 日本原子力研究所は経済協力開発機構・原子力機関(OECD・NEA)加盟国の内の13か国・15機関と協力、今月から軽水炉の安全性向上を目指す国際共同プロジェクトを開始した。東海研究所の大型熱水力実験装置(ROSA/LSTF)を使用、事故時の安全性評価のシミュレーション技術を高度化する。

 OECD・NEAは、加盟国の実験装置を使い、原子力施設等の安全性向上研究の推進と知識の共有化を図るOECD・NEAプロジェクトを支援している。今回、原研は同プロジェクトとして、ROSA/LSTFによる実験を提案した。我が国で同プロジェクトを実施するのは初めて。原子力安全基盤機構も参加する。

 実験は参加国の要請に基づき、冷却材が漏洩した場合など4年間で6種類12回行う。原子炉内の冷却材の挙動や熱の移動を高精度計測装置により測定し、詳細なデータを取得。データは各国が進める高精度な安全評価手法の開発や性能確認に広く利用される。

 ROSA/LSTFは電気出力110万kW級のPWRを体積比48分の1、同一の高さで模擬する実験装置で、電気ヒーターによる炉心出力は10MW。実炉の運転条件の高温高圧から冷却材喪失事故などの模擬実験が可能な世界唯一の装置で、これまでも米国スリーマイル島2号炉事故や美浜2号機蒸気発生器伝熱管破断事故などの再現実験などを実施している。


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