[原子力産業新聞] 2005年5月19日 第2283号 <3面>

[WANO] 米原子力発電所 04年利用率は91%に 過去最高を更新

 世界原子力発電事業者協会(WANO)のまとめによると、2004年の米国の原子力発電所設備利用率の中央値(メジアン)は91.2%で、過去最高を記録(=グラフ)、計画外自動停止回数などの安全指標も、きわめて良好な数値を示していることがわかった。

 米国では103基の原子力発電所が運転中で、電力の約20%を供給している。2004年に米国の原子力発電所は、7885億kWhの電力を生産、これは、過去最高だった2002年の発電量7800億kWhを約1%上回る。

 2004年の91.2%という設備利用率は、原子力産業界が2005年の目標値としていた91%を上回り、これまでで最高だった2002年の91.2%に並んだ。2000年代に入ってからは、2003年の89.8%を除けば、4年間90%以上の利用率を達成したことになる。

 米原子力発電運転協会(INPO)は、発電所の安全と運転成績に関するベンチマークを設定しているが、これによって運転実績データを分析した場合、2004年は安全実績でも優れた成績を残している。

 原子炉の計画外自動停止は、103基の半数以上にあたる61基がゼロで、停止回数の中央値はゼロだった。北米大停電による8基の自動停止があった2003年を除き、1999年以来、中央値ゼロが続く。また、計画外の出力低下や停止の中央値は1.2回で、これまでで最低の数値だった。これは、効果的な機器信頼性プログラムが機能していることを示している。

 INPOは、二系列の主冷却系および補助電力供給系の3つを、異常事態に備える上での主要な安全系統と位置づけているが、2004年には全米の原子力発電所でこの97%が稼働可能だった。これで、十年連続で94%以上を上回った。

 原子力発電所労働者の集団被ばく線量の中央値は、2004年に、PWRで1基あたり61人・レム、BWRでは142二人・レムで、PWRでは2005年目標値の65人・レムを下回ったが、BWRでは目標値120人・レムを上回った。両炉型とも連邦政府の規制値を下回り、PWRでは圧力容器上蓋の交換など、大がかりな機器交換が行われたが、これまでで最低の被ばく線量だった。BWRでは過去3番目に低かった。

 2004年、米国の原子力発電所の労働災害率は、20万労働時間あたり0.25件であり、2005年目標を下回った。2003年労働統計では、製造業より原子力発電所での作業の方が安全だとしている。


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