[原子力産業新聞] 2005年5月26日 第2284号 <1面>

[青森県] 中間貯蔵施設 市町村長会議と政策懇話会開く

 青森県は19日、青森市内で使用済燃料中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」の立地に関して市町村長会議と原子力政策懇話会(=写真)を開催した。課題は50年後の同燃料搬出をいかに担保するかという点に集約。県は27日まで県内5か所で県民説明会を開くとともに、来月には三村知事が直接県民から意見を聴く会を予定。さらに国とも協議し最終判断の見通し。

 市町村長会議には、立地自治体であるむつ市の杉山肅市長ら39市町村から首長などが出席。「必要不可欠な施設と理解しているが、使用期間50年をいかに担保するか」(亀田道隆・野辺地町長)、「住民への理解活動の進捗状況は」(横浜力・風間浦村長)、「新会社の品質保証体制は」(竹内亮一・東北町長)、「50年後までに搬出する担保があれば賛同する」(野坂充・横浜町長)などの質問や意見が出された。

 50年後の搬出について、東京電力の皷紀男常務は、事業計画で明確に示し勝俣社長と三村知事の間でも確約していると説明、経済産業省は事業許可の段階で搬出方法も原子炉等規制法に則り適切に審査するとした。理解活動ではこれまでに124回の説明会を実施するなどの経緯が説明された。

 一方、政策懇話会でも委員から、永久的貯蔵にならない確約が可能か、50年後の搬出先を明記した協定書が必要等とともに、事業者や自治体と住民とのリスクコミュニケーションの構築策、想定外トラブルへの対策、ヒューマンエラー対策、風評被害への対応などに関する意見や質問が出された。また、十年毎に立地協定書を更新する方法を検討できないか、との提案もあった。

 これに対し、原子力委員会が中間貯蔵した使用済燃料の処分方法を2010年頃から検討するなど次期長計の中間取りまとめを説明。東京電力は今後の技術開発もあり搬出先を明示することは現段階では困難との見解を示した。また県は、他の原子力施設も立地条件や状況が変化した場合には対応を協議するとしており、中間貯蔵施設も同様と考えるとした。

 県は今月16日に県議会議員全員協議会を開催、同会でも、50年後の貯蔵燃料搬出をいかに担保するかが課題として指摘された。同会では三村知事が中間貯蔵施設は新しい施設であることを考慮し、知事が県民から直接意見を聴く「ご意見を聴く会」を開く方針を示し、19日の両会でもその方針を県が説明した。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.