[原子力産業新聞] 2005年5月26日 第2284号 <3面>

[英THORP] セル内の硝酸漏洩でINESレベル3判定

 今年4月1日付で原子力デコミッショニング機構(NDA)に移管された英国の酸化物燃料用の再処理施設THORP(=写真)で、4月18日、配管破断により施設内で硝酸溶液が漏洩、国際原子力機関(IAEA)は同事故を国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル3と判定した。

 これは、THORPの前処理工程にある清澄セル内で配管が破断、同セル床に83立方メートルの硝酸溶液が貯まったもの。硝酸溶液は使用済み燃料を溶解したもので、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物質などが含まれている。セルはステンレス製で密閉されているため、環境への影響はない。

 施設を運転する英国原子力グループ(BNG)によると、セル内をテレビカメラで検査して漏洩がわかったもので、現在、原子力施設検査局(NII)による原因調査が行われているほか、漏洩した硝酸溶液の回収方法などが検討されている。これに伴いTHORPは運転を中止している。

 NDAは、原子力施設の除染・廃止措置を行うため、今年4月に設立。年間22億ポンド(約4300億円)の予算のうち5.6億ポンド(1100億円)はTHORPの運転収益を充てる予定。THORPの運転停止が長引けば、英国の原子力施設浄化作業にも影響が出る可能性がある。


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