[原子力産業新聞] 2005年6月9日 第2286号 <2面>

[関西電力] 美浜事故再発防止行動計画で 進捗状況を報告

 関西電力は1日、「美浜発電所3号機事故再発防止に係る行動計画」の進捗状況や今後の詳細計画を地元自治体などに報告した。人的資源や資金の投入、三菱重工業との技術協定、定期検査工程の見直し、二次系配管肉厚管理の強化など。原子力事業本部の移転先は美浜町の方向で詳細を検討中としている。

 同社は3月末に全29項目の行動計画をまとめたが、今回の報告はこの内の13項目に係る内容。

 人的資源では、これまでに二次系配管管理専任要員を事故以前の四名から14名に増員、近く技術アドバイザー9名、情報管理専任者3名も配置の予定。今年度の原子力部門の採用人員は昨年度比11名増の29名としたが、来年度は更に増員し大半を保守管理業務にあてる。資金面では09年度までの5年間で二次系配管保守管理に従来の2倍強の約200億円を投入。このうち今年度は配管点検に約20億円、配管取替に約30億円を予定する。

 三菱重工業との技術協定は4月22日に締結。両社はワーキンググループを設置し、高経年プラントに対する予防保全などへの取組みを強化するため、長期的な役割分担、技術力の継承、将来のプラントに関する方向性などを検討する。

 定期検査工程の見直しでは、安全最優先の考え方に基づき、準備作業で労働安全や設備安全を考慮した行程を策定。事故後に行われた五基の定期検査は平均で従来に比べプラス9日間となっており、併せて行程ありきの作業ではなく必要に応じた行程見直しも実施中。二次系配管肉厚管理の強化ではコンピュータシステムの改良、知見拡充や水平展開のため点検対象部位の拡大などを実施した。

 原子力本部の移転とともに若狭支社の福井事務所を拡充し、「地域共生にかかわる本部」にすることも検討している。


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