[原子力産業新聞] 2005年6月9日 第2286号 <2面>

[原子力安全委・専門部会] 「原研開発機構」に期待する安全研究テーマに審議

 原子力安全委員会の原子力安全研究専門部会(部会長=木村逸郎・原子力安全システム研究所技術システム研究所所長)は5月31日、原研とサイクル機構の統合によって本年10月に発足する「日本原子力研究開発機構」に期待する安全研究について審議を行った。

 安全委員会は、原子力機構の中期目標が策定されるのに際して、安全規制機関が安全研究の成果をどのように活用するのか、いつまでに必要とするのかを明確にする考えから、委員会自ら策定・改定を行う安全審査指針類や安全規制の基本的考え方の調査審議に当たり、@安全研究成果を活用して実施する調査審議内容(成果の反映先)A必要とする研究成果B研究成果を必要とする時期について、「日本原子力研究開発機構に期待する安全研究(案)」をまとめた。これは、安全委員会が昨年、本年度以降約5年間に重点的に実施すべき安全研究の内容等を7分野にわたって示した「原子力の重点安全研究計画」に従って、@規制システム分野A軽水炉分野B核燃料サイクル施設分野C放射性廃棄物・廃止措置分野D新型炉分野E放射線影響分野F原子力防災分野の各分野ごとに、安全委員会として独自の技術能力の維持・向上を図るために必要な研究データなどについて述べている。また、原子力機構では、安全研究だけでなく原子炉、核燃料サイクル、放射性廃棄物処理処分等の研究開発も行うことから、これらによって期待される、原子力安全に大きく貢献する成果については、機構の安全研究を担当する部署が必要に応じて内容を精査した上でとりまとめることを、同案では併せて求めている。

 これに対して、野村正之委員(原研理事)は、新法人に中立性・透明性を確保して安全研究を実施する組織を設け、その他の基礎基盤技術や研究開発を推進する部門との横断的な連携を、効率的に行う考えを述べた。また、中立性を高める方策として、「安全研究審議会」的な組織による検討、評価結果の安全委員会への諮問を上げた。また、木村晃彦(京大エネルギー理工学研究所教授)は、運転年数が30年以上に達する軽水炉が増えつつある中で、原研の材料試験炉が来年にも停止されることから、材料関連の安全研究への影響を懸念した。

 この原子力機構への期待については、今回の議論を踏まえて成案を作成し、文科省へ送る見通しだ。


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