[原子力産業新聞] 2005年6月9日 第2286号 <3面>

[シリーズ] ルミャンツェフ・ロシア原子力庁長官に聞く(2)

 (先週号より続く)第2番目はインドですが、インドは実質的に核兵器を持っていますが核不拡散条約の加盟国ではありません。国際規範では、他国はインドとは原子力分野で協力してはいけないのです。インドが単独で自国の原子力発電設備を数倍にすることは、すぐにはできないでしょう。

▽イラン国会は2000万kWの原子力発電所を自国に建設するプロジェクトを承認しました。ロシアは前述の6基の原子力発電所建設の提案以外に、イランと協力するつもりはありますか?

 現在、ドイツ、フランス、イギリスの欧州3国とイランの間で交渉が行なわれています。我々は我々で、常にイランと様々な交渉を行なっています。

 ロシアの意見は、「イランの原子力発電所を有効に使うには、原子力発電を1000万kWまで発展させる必要があるが、いまイランにはそのような設備がなく、核燃料製造、濃縮、ウラン採掘など、国の核燃料製造サイクル全体の有効利用ができていない。まず、イラン国内の原子力発電所の有効利用が可能までに発展させ、その後、使用済み燃料の再処理、再加工など経済的目的に適った利用を考えるべき」ということです。

 イランは合法的に外国からの協力をあおぐ権利を持っています。なぜなら、イランは核不拡散条約加盟国だからです。しかし、イランの原子力計画はそれでも様々な理由で多くの国から警戒されており、協力者がいません。私は個人的には、イランの原子力平和利用の発展を支持し、これに関する国際社会での論議は2005年末までに終了すると期待しています。

 国内の原子力発電施設が未発達のイランは、自国の完全な核燃料サイクル完成を断念した方が良いと考える国も多くありますが、私は、イランの原子力設備計画は発展させる方向で決定されるものと期待しています。(ロシア・ノーボスチ通信配信)


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