[原子力産業新聞] 2005年6月16日 第2287号 <2面>

[中部電力] 排気筒ダクトひび割れ原因は「風渦励振」対策で建替え

 定期検査中の浜岡原子力発電所1・2号機共用排気筒のダクト接続部などで確認されたひび割れ及び、ひび割れの徴候について、中部電力は8日、「ひび割れは、風による排気筒の振動(風渦励振・ふうかれいしん)により発生した疲労割れによるもの」とする推定結果を発表した。

 風渦励振は、風によって細長い構造物に生じる振動の一つ。物体の断面形状と固有振動数で決まる一定の風速域で発生し、構造物の背後(風下側)に生じる流れの渦により、風方向に対して直角の方向に振動(共振)する。

 調査の結果、@排気筒は約21m/秒以上の風速で共振が起こり得ることA当該部は排気筒内側に補強板が溶接されており、振動による力が集中しやすい形状であったこと――を確認、中部電力では「当該部に風渦励振による力が繰り返し加わり、ひび割れが発生したもの」と推定。

 中部電力は、再発防止対策として、現排気筒を補強することは困難として、別の位置に風渦励振対策を実施した排気筒に建て替えることとした。

 建て替え工事は、現在実施中の定期検査期間中に行うこととしているが、工事完了までの期間は、ひび割れ部の溶接補修等を行うとともに、排気筒内側の補強板溶接部を力が集中しにくい形状への変更を実施することなどを決めている。


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