[原子力産業新聞] 2005年6月16日 第2287号 <3面>

[米上院] 2議員が法案を上程 新規原子力に財政支援

 米議会上院のJ・マケイン上院議員(共和党)とJ・リーバーマン上院議員(民主党)はこのほど、原子力発電など温室効果ガスを排出しないエネルギー源への財政支援を含む「環境保護法」案を上程した。同法案は、今週から上院本会議で審議が始まる包括エネルギー法案への修正案として検討される見込みだ。

 両上院議員の提出した環境保護法案は、「温室効果ガス放出を大幅に削減できる技術や国のエネルギー対外依存を減らす技術の商業化を推進する」とし、2010年までに温暖化ガス放出量を2000年レベルまでに抑制することを目指す。

 具体的には、改良型の石炭火力、原子力、太陽光、バイオマス等の発電所について、@初号機での政府とのコスト分担を認めるA最初の3基では建設費の80%まで政府保証の借り入れを認める――としている。これにより、二酸化炭素など温室効果ガスを出さない発電への投資を促す。

 マケイン上院議員は、「米国のエネルギー・ミックスにおいて、二酸化炭素を出さない原子力のようなエネルギー源が果たす役割がないという考えは、化石燃料への依存を続けるため、時代遅れで非生産的だ」とし、「我々が地球温暖化問題に真剣に向き合うならば、原子力のような、持続可能なゼロエミッションの代替エネルギーを支持しなければならない」と強調している。マケイン氏は、2000年の米大統領選挙で、共和党の有力候補となった実力派上院議員だ。

 リーバーマン上院議員は、「地球温暖化対策とエネルギー依存度低下には、技術の進歩や革新が重要」とし、同法案が二酸化炭素を放出しない技術に投資資金が流れるようなメカニズムを作り出すことを目指していると述べている。

 両上院議員の提出した法案について、米原子力エネルギー協会(NEI)は、「新規原子力発電所の建設が、エネルギー需要と環境保護を両立させる上で重要な要素だと認識したもの」と歓迎している。


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