[原子力産業新聞] 2005年6月30日 第2289号 <3面>

[米NEI] 米原子力支持、初の7割台

 米原子力エネルギー協会(NEI)は20日、米国の成人1000人を対象にした原子力に関する世論調査の結果を発表、原子力発電に賛成する米国民の割合が70%となった。1983年の同調査開始以来、原子力に賛成する米国民の割合が7割台に乗ったのは初めて(=グラフ)。米国民の大多数は、原子力発電が国の電力需要を満たすために重要と考えており、新規原子力発電所建設を支持していることが浮き彫りになった。

 この調査は、NEIの委託を受けて、ビスコンティ・リサーチとNOPワールドが年2回行っているもの。前回は昨年10月に行われた。今回の世論調査は、5月5日から9日に実施、誤差は±3ポイント。

 原子力発電に賛成する(強く賛成と幾分賛成の合計)米国民の割合は、1998年に6割台に乗って以来、ほぼ順調に上昇を続けている。一方、反対(強く反対と幾分反対の合計)の国民の割合は、1993年に3割台、2004年に2割台に下がり、今回は過去最低の24%となった。

 原子力に好意的な姿勢は、登録有権者の72%、自称「環境主義者」の71%、民主党支持者の66%、共和党支持者の82%など、広い政治的バックグラウンドの集団にみられた。

 原子力発電を「強く支持する」と答えた人の割合は32%で過去最高。一方、「強く反対」と答えた人は10%で過去最低となった。

 米原子力発電所の許認可更新による運転期間延長を支持する人は85%とほぼ米国民のコンセンサスが得られた状態。また、「電力会社は新規原子力発電所が必要な場合に備えて、今すぐ準備を始めるべき」に賛成の人は77%、「新規原子力発電所を建設するオプションを持つすべきだ」には74%、「絶対に新規原子力発電所を建設すべきだ」には58%など、新規原子力発電所建設についても、高い支持率が得られた。

 「自宅から最も近い運転中の原子力発電所での増設を認めるか」との問いに対しても、「認める」が69%で、「認めない」の27%を大きく引き離し、過去最高を記録した。

 また、原子力発電を「重要なエネルギー源」と考える人は83%で過去最高、「重要でない」とする13%を大きく引き離した。

 今回の結果について、調査を行ったA・ビスコンティ氏は、「原子力が重要な役割を担うという認識が、ここ数年で広まっている」とコメントしている。


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