[原子力産業新聞] 2005年7月14日 第2291号 <1面>

[経産省・エネ調査会] 原子力部会で政策検討再開へ 電気事業分科会下に移管

 経済産業省は7日、東京・霞ヶ関で総合資源エネルギー調査会の第22回電気事業分科会(分科会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)を開催(=写真)、電気事業分科会の下に「原子力部会」を移管し、検討を再開することを決めた。原子力部会では、電力自由化等を踏まえた原子力政策のあり方、高レベル廃棄物処分事業の進め方、核燃料サイクル技術のあり方等について、早急に検討を開始する。

 経産省は6月23日付中川大臣名で、総合資源エネルギー調査会の千速昌会長に、「昨今の電気事業を取り巻く各種情勢の変化等を踏まえた、今後の原子力政策はいかにあるべきか」を諮問。これを受けて同会長は1日、鳥居・電気事業分科会長にこの検討を行うよう付託。加えて、これまで原子力部会に諮問されていた、@特定(高レベル)放射性廃棄物の最終処分事業の進め方はいかにあるべきかA我が国における核燃料サイクルの確立に向けた技術のあり方――についても、あわせて電気事業分科会へ諮問した。

 電気事業分科会では、同分科会の下に新たに原子力部会を設置し、現在策定中の原子力長期計画を具体化するために、@中長期的に原子力を確保していくための方策のあり方ATRU廃棄物とガラス固化体の併置処分――について審議する。「中長期的な原子力の確保」については、今後20年間程度、新規原子力発電所発注の低迷が見込まれる中で、人材の維持・確保など、原子力産業を維持する方策等を検討する。

 また、従来から原子力部会に付託していた案件については、@新型遠心分離機の技術開発の評価A高レベル廃棄物の最終処分計画の改定――の2点を、早急に検討する。

 従来、原子力部会は総合資源エネルギー調査会の下に置かれていたが、全体会合は2001年10月以来、開かれてこなかった。形式的には、現在の原子力部会をいったん廃止し、電気事業分科会の下に新たに原子力部会を作ることになる。経産省では早急に検討を開始したい意向で、7月19日に第1回会合が開かれる。

 原子力については、電気事業分科会の新委員から、「PPSとしても大いに協力する。新規参入者も原子力の電力を利用したい」(PPS代表)、「原子力なしではCO2削減目標の達成は無理。原子力の立地問題も扱うべき」(消費者協会代表)などの意見が寄せられた。


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