[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <1面>

[日本原子力研究開発機構] 初代理事長に殿塚氏

 文部科学省は22日、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して今秋設立される日本原子力研究開発機構の初代理事長に、殿塚猷一・核燃料サイクル開発機構理事長(=写真)を指名した。殿塚氏は、事業の選択と集中により「活力のある事業展開を実現」すると抱負を述べた。今後、10月1日発足に向けて、同氏を中心に中期計画策定や組織体制作りが進められることとなる。

 10月に発足する新法人は、昨年11月に成立した「原子力機構法」に基づく独立行政法人。原子力機構は、「長期エネルギー安全保障・地球環境問題の解決」、「国際競争力のある科学技術を生み出す基盤」、「原子力利用の安全・安全保障を確保するための活動」など、原子力の諸分野での貢献を目指し、高速増殖炉サイクル、核融合、量子ビーム、高レベル廃棄物処分などの研究・開発に取り組む、わが国唯一の総合的な原子力研究開発機関となる。

 新法人は、総人員4000名以上、年間予算2000億円以上、研究開発拠点を幌延、むつ、東海、大洗、那珂、高崎、東濃、敦賀、関西、人形峠の各地区に展開する大規模組織として誕生する。

 新法人の理事長に指名された殿塚氏は、中部電力出身、04年1月よりサイクル機構理事長を務め、「もんじゅ」の改造工事、設置許可に係わる行政訴訟など、重要な局面に対応した。

 22日の記者会見で殿塚氏は、「重責に身の引き締まる思い」としながら、「安全の確保と立地地域との共生を大前提とし、行財政改革の観点からの徹底的な合理化、事業の選択と集中によるスリム化などを実行し、活力のある事業展開を実現していく」と抱負を述べた。

 また、「両法人の職員が統合を機に心を一つにし、夢と誇りを持って、国民の期待に応えられる原子力機構を創り上げるよう、全精力を傾注して取り組む」と決意を述べる。

 新組織における具体的な業務内容については、現在、統合懇談会で検討が進められているが、「単に従来のままの延長線上にあってはならない」として、基礎基盤研究志向の原研と、プロジェクト志向のサイクル機構のそれぞれが持つ伝統を融合し、「新しいものへ仕立て上げていく」必要を強調した。

 殿塚猷一(とのづか・ゆういち)氏 1960年慶応義塾大学経済学部卒業、同年中部電力入社、95年同常務取締役、97年電事連専務理事、01年永楽自動車取締役社長、03年サイクル機構副理事長、04年同理事長。68歳。


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