[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <1面>

[日本原子力研究開発機構] 新法人で「拠点構想」

 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構はこのほど、10月1日設立の新法人「日本原子力研究開発機構」の新たな取組みとして、新法人の基盤研究能力や関連する施設を広く産業界や大学にも開放して、我が国の原子力技術基盤や人材基盤の維持・発展を図っていこうという「原子力エネルギー基盤研究拠点構想」を打ち出した。

 同研究拠点構想は、競争的資金等も活用して各機関が研究資源や人材を持ち寄り、新法人の基盤研究能力・施設を利用することにより技術開発を効果的、効率的に実施できるようにしようというもの。

 このため、新法人は産業界との連携業務窓口として「産学連携推進部(仮称)」を新設する。産学官連携の推進、技術移転の推進、知的財産管理に加えて、連携企業側の情報の管理についても、十分配慮していくとしている。

 この構想が実現すれば、我が国の原子力の技術開発基盤の強化につながるものと産業界も期待している。日本原子力産業会議では8月1日に、同構想について産業界に対して説明会を予定している。

 原子力エネルギーに関する基盤研究施設としては、東海には研究炉及びやホット施設、超ウラン元素取扱い施設、安全性研究施設、大洗には原子炉用燃料や材料の研究・技術開発施設がある。

 新法人としてこの拠点構想で産業界等と連携して研究開発が可能なのは、当面は次世代軽水炉、原子力用材料、分離・核変換、計算科学、分析・計測、水素製・利用など。今後、連携研究課題について具体的に検討するための技術研究会の設置を予定している。

 これまで原研・東海研等の施設の共同利用は、「自らの研究開発の資源の一部を割くサービス的な位置付け」だった。しかし独立行政法人となり、施設共用が業務として定められたことを契機として、これからは、「産業界や大学との垣根を低くして協力を強化していきたい」としている。


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