[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <2面>

[日本学術会議] ITERテーマにシンポ開催

 日本学術会議は19日、東京・千代田区の内幸町ホールで、シンポジウム「ITERの建設と核融合エネルギーの早期実現」(=写真)を開催、参加極による政府間協議の経緯、研究開発の進展状況などについて報告を行った。

 冒頭、柴田徳思・学術会議核科学総合研究連絡委員長は、ITER建設地がフランスに決定したことについて、「日本にとって大きな打撃とは思わず、むしろこれからどのように進めていくかが重要」との前向きの考えを提示。

 続いて、原子力委員会のITER懇談会座長を務めた吉川弘之・産業総合研究所理事長は、「地球温暖化問題は、科学者の助言が社会・政治レベルの問題に定着した1例」と述べ、化石燃料に由来するCO2削減が「行動をデザインする目標」になっているとして、エネルギー問題が地球環境問題の中心に据えられていると主張。その上で、将来のエネルギー実現を模索する観点から、ITERが一つの学問分野から、今や環境問題の一角を占めるようにまでなってきたとするとともに、その研究開発は「未来の世代との対話」に匹敵するとして、引き続き関係国と連携し推進していく重要性を披露した。

 また、近藤駿介・原子力委員長は、今後の核融合研究開発にあたって、現在策定中の新原子力長期計画が短・中・長期的視点からみた適切な資源配分を施し、総合科学技術会議においても他分野と連携する重点・効率化を目指した施策により、政府一体となって推し進める姿勢を強調した。


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